
ディスクブレーキは、外見がすごくスタイリッシュというわけでもなく、取り立てて派手な実力を発揮するものでもありません。だからと言って、素早く安全にバイクの制動を行えることが過小評価されるべきではありませんよね。 ライドのスタイルやバイクのタイプに関わらず、ブレーキが汚れていると動作効率がすこぶる悪化します。 さらに、ブレーキのメンテナンスを怠るとブレーキの停止距離が長くなるので、コーナーに差し掛かる手前からブレーキをかけ始める必要があるだけでなく、危険な事故につながる恐れもあります。
ロンドン郊外を拠点にバイクメンテナンス・洗浄用品を手作りで製造するメーカー Crankalicious が、ディスクブレーキの適切な洗浄・メンテナンス方法を、分かりやすい 6つのステップにまとめてくれました。
ステップ 1: 正しい洗浄用アイテムを用意する
靴磨き粉を窓拭きに使う人はいませんよね。それと同様、バイクのパーツにはそれぞれに合った特殊洗浄用アイテムがあります。
例えば、Crankalicious の Rotorissimo ブレーキクリーナー。 ブレーキシステム内の主要パーツにこびりつく泥を根こそぎ洗い流せるよう特殊開発された、洗い残しの出ない商品です。 ディスクローターにも洗い残しがなくなるので、一貫した高いブレーキ性能がよみがえります。
ディスクブレーキの洗浄には、PTFF (ポリテトラフルオロエチレン) を含むような、艶出し効果のある商品はお勧めできません。ディスクの表面が滑りやすくなり、ブレーキ性能に支障が出てしまうからです。
ステップ 2: 洗浄パーツを確実に把握する
ディスクブレーキブレーキの洗浄では、特に次の 4つのコンポーネントをしっかり洗浄する必要があります。
- 2つのディスクローター (ホイールに接合する金属のディスク部分)
- ブレーキパッド
- キャリパー (パッドをディスクに押し付けるパーツ)
- ブレーキレバーと油圧システム
バイクの使用状況や駐車場所などによってバイクの洗浄頻度は異なります。屋外に停めているバイクは、屋内に停めているバイクよりもメンテナンスに気を使うべきでしょう。
経験豊富なサイクリストの多くは、ライド前後にバイクの状態を必ず確認します。さらに、バイクの高い安全性と確実な走行性を維持するために定期的に洗浄を行うのが普通です。
ステップ 3: 洗浄の適切なタイミングを知る
ライド直後で疲れている上に、自分の体も汚れて臭いがするのに、バイクをピカピカにする気になんかならない、ですって?お気持ちはよく分かります。
でも、ライド直後こそバイクの洗浄に最適なタイミングであることも事実です。泥やロードの汚物、塩分を含む物質などがコンポーネントの中に入り込み、固く干からびてしまうと、バイクに損傷を及ぼすことも考えられるからです。
ステップ 4: 洗浄中にバイクを「汚染」しない
ローターの「汚染」を防ぐために、洗浄中は常にニトリル製の手袋をはめましょう。大げさに聞こえるかもしれませんが、手に付いた泥や油分はローターやパッドの安全な機能性を損ないかねないのです。
ステップ 5: 洗浄前にパーツの磨耗や亀裂の有無をチェックする
ホイールからローター、パッド、キャリパーを取り外して、それぞれを完璧に洗い上げましょう。
さらに、小石や砂の粒などが詰まっていないか、大きな損傷はないか、油分による腐食はないか、深い亀裂はないか、変形していないかなど、すべてのパーツを入念にチェックすることが重要です。
磨耗やメンテナンスの行き届かない部分が一ヶ所でも見つかったパーツは、交換するのが賢明でしょう。 また、洗浄の際には糸くずの出ないタオルを使用しましょう。洗浄中にコンポーネントに糸くずが付着しては元も子もありません。
ホイールを外した状態でブレーキレバーを絞るのは厳禁です。自動的に両ブレーキパッドが寄りすぎるため、ローターを戻すときにきつくなってしまいます。
ステップ 6: 洗浄を始める
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ホイールからローター、パッド、キャリパーを取り外してきれいに洗います。
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Crankalicious の Rotorissimo ブレーキクリーナーなどの洗浄剤をローターの両サイドにスプレーします。 泥などの汚れを取るのには布やブラシを使用してください。仕上げに汚れていない布で残りかすのないように拭き取ります。
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フレームからホイールを外したままの状態で、キャリパーやパイプの接合部分にたっぷりとブレーキクリーナーをスプレーします。 汚れをすべて、ブラシや布でこすり落とします。 これらのパーツは動作することで汚れが入り込んでしまう可能性があるので、念入りに洗浄してください。 ご心配なく!ブレーキ洗浄液のあとが残ることはありません。
- ブレーキにおいてパッドとローターと同様に重要なパーツはレバーです。 油圧タイプでもケーブル稼動タイプでも、動作するパーツはブレーキ洗浄液とブラシや布を使用して洗浄してください。ブレーキ内部に砂などの汚れが残ってしまうと、的確なブレーキ性能が損なわれることも考えられます。
ステップ 7: バイクを注意深く組み立て直す
洗浄のステップは 6つですが、再びパーツを組み立て直すのも重要なプロセスです。再度パーツを組み立てる前に、動作をするすべてのパーツに潤滑剤を塗ることをお勧めします。 洗浄の後はホイールやローター、パッドの細部まで手が届きやすいはずです。
ブレーキシステムに細かな砂の粒などが入り込んでいないこと、適切なパーツに潤滑剤が塗布されていることを確認してください。さらに、誤ったパーツに潤滑剤が塗られていないかも、この段階でチェックしましょう。 誤って潤滑剤を不適切な箇所に塗ってしまった場合は、ブレーキクリーナーで再度拭き取ります。
もし組み立て段階でブレーキがキーキー音を出すようになったら、ローターやパッドに汚れを付けてしまった恐れがあります。 上記の洗浄ステップを再度繰り返すことで、不快な音を除去することができるでしょう。